羊の書斎

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【読書レビュー】50ヘルツのクジラたち ☆4.5

こんばんは。

今日は花粉がひどかったですね。今はヒノキでしょうか?夜中に急に来て、鼻水と涙で寝不足です。なぜ夜中、、??

 

さて、今日紹介するのは2021年本屋大賞受賞、2024年映画化、最近ホットな町田そのこさんの作品です!本屋大賞を取られてからずっと気になっていた作品で、映画化の機会にやっと初読みできました。

他のクジラには聞こえない52Hzの音域で歌うクジラ。そんなクジラの様な人間達の、すれ違いの物語です。

 

 

主人公のキナコは、東京の辛い出来事から逃げ出すように、大分県の海に近い田舎の漁村に1人で住み着いた。そこで出会ったのは、家族から「虫」と呼ばれて虐待を受けている子供だった、、

この本の登場人物達は、絵に描いたような不幸の連鎖にとらわれてしまった人達ばかり。

助けを求める声、愛を叫ぶ声、切なくもすれ違い、その声に気がつくのは取り返しがつかなくなってしまってから。

毒親、介護、失恋、愛人、子育て、人生は失敗ばかり。しかし、そうやって人は学び、成長して行く。

登場人物達は色々な問題を心に抱えながらも、幸せになろうと、全うに生きようと頑張っている人達。だけど、1度まっとうな生き方のレールから外れてしまうと、もがいてももがいても沈んでゆくばかり。

登場人物達のすれ違いから来る切なさや虚しさで、読んでいて何度も胸がいっぱいになってしまいました。

テーマとしては重たいものばかりですが、回想の形で物語が進むせいか、さくさく読めました。あるいは、介護、虐待、不倫などの苦労をらんぷ自身が経験したことがないからかもしれません。

もがき、後悔しながらも、主人公のキナコは強く生きてゆきます。

最後は不幸の連鎖の中から52Hzの声を聞いたキナコは、再生に向かって確かに歩きだして行きます!

読み終わったら心が洗われるような、前向きに生きてゆこうと思えるような、絶対に読んで損はしない1冊です!

映画の方も気になりますが、原作信者のらんぷは、アマプラで無料で観れるようになって、その時評価が高かったら観てみようかな?といった感じですかね。


さて、ここからは独り言ですが、不幸の連鎖って本当にあると思うんですよね。愛情不足で大人になってしまうと、幸せであることが何かわからずに、どうしたら良いかわからないまま、回りの悪意に簡単に流されてしまう。そして、それに抗うのはとても大変なことだと思います。

でも、大なり小なり幸せであろうともがく姿に、らんぷは人間の美しさを見いだしてしまうのです。人間て、どうしようもなく愚かで弱いのに、儚くて尊いものですね。