羊の書斎 ~ 晴耕雨読 ~

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【読書レビュー】嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラーの教え」~☆5.0

気が付いたら読者数が10名になっていました!

登録していただいた方々、本当にありがとうございます🥳

 

今日レビューさせていただくのは、自己啓発本といえばこの本が一番最初に思い浮かびます。「嫌われる勇気」です!

 

初めてアドラー心理学を知った書籍になります。よほど相性が良かったのか、読んだ回数は数知れず、らんぷのバイブルとなった一冊です。合う人、合わない人がはっきり分かれる様な気がします。理屈っぽいよりは楽観的な人生訓の延長、という感じがしました。

 

どんな本?

 

2013年、岸見一郎さん(原案担当)、古賀史健さん(執筆担当)による著書です。アドラー心理学の提唱者、アルフレッド・アドラーの思想について、「青年」と「哲人」の対話という形を取って、非常にわかりやすく説明されています。

 

2014年にはビジネス本ランキングで2位、2015年に1位を取っているみたいです。そのまま、ドラマ、舞台、漫画、色々と手広くやっているみたいですね。

 

アドラーとは、今ではきいたことがない人は少ないと思いますが、フロイトユングに並び「心理学の三大巨頭」と言われています。

 

しかし、一方でアドラーの思想は、当時100年先を行くと言われたようです。ようやく時代が追い付いてきたのでしょか?らんぷにはがっつり響きました!

 

本の中身は、難しい自己啓発本ではなく、対話形式なのであっという間に読み進められます。悩める「青年」と哲学者「哲人」が議論をしながら、アドラーの思想を通して「青年」の悩みに答えてゆきます。

 

「人を動かす」のデールカーネギー、「7つの習慣」のスティーヴン・コーヴィー、彼らもアドラーについて言及するくらい影響を受けているようです。もし興味があったらこちらの本も読んでみてはいかがでしょうか?

 

本の印象

 

台本を読んでるみたいで面白いです。「青年」のこじらせ具合は他人事とは思えません。長年の悩みが、読み進めるにつれてほどけていく感じでした。

 

自己啓発、哲学、心理学、宗教など、専門書になると多くの周辺知識が必要だったりして真意をくみ取れないことがあります。しかしこの本は専門用語は極力使わず、あくまでも「人生を幸せに過ごすための実践の思想」を伝えてくれます。

 

仏陀、イエスソクラテス、インディアン、縄文文化は、書物を残さなかった事で有名です。おそらく、思想を伝えるにあたり、その時その場その相手に「伝えるべき言葉」が違うからだと思います。

 

アドラーも学問のための学問を否定し、学生や患者との実践的な対話を重んじていたようです。

 

しかし、この本は「青年」と「哲人」の対話を通して、「その時その場所その相手に伝えるべき言葉」を見事に再現していると思いました。

 

心理学、哲学、宗教、教育、福祉、様々な分野に根を下ろし、「アドラー」という名前が残らないほど、普遍的な思想、価値観のエッセンスが、この本には詰まっていると思います。

 

内容

 

とりあえず、ここまででこの本に興味を持たれたら読んでください!と、本気で言いたいのですが、それでは身もふたもないので、らんぷなりに理解した内容をつらつらと書いてみます!

 

1 考え方について

 

コペルニクス的転回を受け入れることから始まります。いわく、、

 

~「原因論」ではなく「目的論」~

 

**だからできない、ではなく、**になるには何ができるだろう、で考える、負のスパイラルから抜け出す最初の一歩です。

 

トラウマさえも言い訳で、”今の自分を変えない”という自身の強力な目的に従って苦しんでいることに気付くこと。

 

「本当はやればできる」といってやらない人は、”可能性に逃げるという目的”のために、時間がない、もっと若ければ、もっとお金があれば、親ガチャ外れ、容姿がよければ、、と原因を求めるのです。

 

~全ての悩みは人間関係~

 

相手への過剰な見返りの要求、憎しみ、喪失感、他人への敵意、恐怖、など、不幸の発端は人間関係に集約されます。

 

自分以外の人間がいなければ悩みは基本的に発生しません。それは無理なので、一緒に考えましょう、からスタートです。

 

~課題の分離~

 

”水辺に馬を連れてゆけるが、水を飲ませることはできない”。

 

お膳立てしても、最後に決めるのは相手の課題。強要や強制はしてはいけない。承認要求はまさにこれ。他者からの承認は強制できません。要するに、「ニーバーの祈り」だと思います。

 

”神よ、変えられないものを受け入れる強さと、変えられるものを変える勇気と、変えられないものと変えられるものを見分ける賢さを与えて下さい”

 

~一般的な意味での人生の意味はない。人生の意味はあなたが自分で与えるもの。~

 

これは言葉のままだと思います。自分に従って生きるだけですね。

 

自分は何か大きな特別なことを達成して名を残すのだ!という、肥大した自己顕示欲もまた不幸の元になりえます。

 

他人が認めるかどうか、未来の人間や子孫が自分の物語を語り継いでくれるか、これは他者の課題です。本当にそれを目的とするならば、人並み以上の不断の努力を目的に向けてコツコツ続けることです。

 

~人生のタスクに向かい合う~

 

人生のタスクとは「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」タスクとは、幸せを得るために必要なもの

 

タスクから逃げることは簡単です、でも、苦しいと思います。職場では、「仕事のタスク」に逃げて、他のタスクに向かい合わずに、不幸をばらまいている人をよく見ました。

 

2 共同体感覚を身に着ける

 

~自己受容~

 

100点でない自分を受け入れること。冷静に考えて完璧などありはしない。自分も他人も存在するだけで貢献できていることを自覚する。

 

つまり、明日突然いなくなって悲しむ、困る人がいるなら存在しているだけで貢献できている、という事実を理解することです。

 

~他者信頼~

 

皆から好かれることは不可能。好きになってくれ、を押し付けることはできない。感謝してくれ、承認してくれ、愛してくれ、も要求できない

 

自分から愛することしかできないのだから、明確に線を引いて、自分から勇気を出して、見返り無く相手を信頼すること。

 

3 共同体への貢献感を感じる

 

~他者への貢献~

 

人は共同体への貢献感によってのみ、幸せを感じることができる、社会的な生き物。しかし、感謝や承認を他人に強いることはできない。世の中の仕組みを理解して、自分なりに本当に他者へ貢献できている、と感じることを信じて行うこと。

 

その相手はあなたから、共同体、世界中の人達、過去から未来、皆すべて。自分だけ、今だけ良ければいいだけでは長続きしません。

 

~ほめない、叱らない~

 

ほめるのは、意識せずとも見下していることが前提。

 

叱るのは相手へのは介入で、積極的な活動を妨げる。

 

相手が行動できずにいたら、「勇気づけ」を行う。あくまでも縦の関係ではなく、横の関係を築く

 

4 「今」を生きる  

 

これは禅でも言われる事だと思います。過去のトラウマを生きるのも、未来のために耐え忍ぶ準備期間を生きることも幸せではありません。

 

今、この瞬間を生きることが大事。未来の不安で押しつぶされないように気を付ける。

 

あとはひたすら実践あるのみ。アドラー研究者は、このライフスタイルを確立するには生きてきた人生の半分の期間が必要、と言われていました。

 

しかし、アドラーいわく、寿命を終える前日までは、幸せになることはできる、と言っていたようです。やるなら今でしょ!ってことですねw

 

 

はい、今回は特に好きな本だったので、長文になってしまいました。

最後まで読んでいただいた方は本当にありがとうございました~👋