読売新聞の広告欄「話題の絵本」と紹介があり、たまたま目に留まった絵本です。気になったので長女・6歳に読み聞かせようかと思って図書館で借りてきました!
こちらの絵本は、2022年8月初版の新しい絵本です。そもそも絵本というカテゴリーは普遍的な価値観に基づく物語がほとんどなので、新しい絵本がいい絵本とも限らないだろうな~、、、と、この絵本を読むまで思っていました。
読んでみた感想としては、タイトルから想像するよりも、はるかに切なかった。。こんなにドラマティックな絵本、読んだことがありません。
クレヨン?色鉛筆?風の柔らかいタッチで書かれる絵。主人公の「ぼく」を通して一人称で語られる物語。
もうじき食べられる事実を前に、何を考え、何をして、どう感じたのか。あきらめの境地に達した、すがすがしさを感じさせる子牛の「ぼく」、ラストががっつりと胸に響きます。
らんぷ目線でさらにもう少し語らせてください。
たまたま最近読んだ本の「サピエンス全史~上~」の挿絵の中に、ある子牛の写真がありました。興味津々で振り返りながらこちらを見上げてくる、つぶらな瞳のかわいい子牛。その写真の注釈にこのように書いてあります。
図15 工場式食肉工場の現代の子牛。子牛は誕生直後に母親から引き離され、自分の体とさほど変わらない小さな檻に閉じ込められる。そこで一生(平均でおよそ4か月)を送る。檻を出ることも、他の子牛と遊ぶことも、歩くことさえも許されない。すべて筋肉が強くならないようにするためだ。柔らかい筋肉は、柔らかくて肉汁がたっぷりのステーキになる。子牛が初めて歩き、筋肉を伸ばし、他の子牛たちに触れる機会を与えられるのは、食肉工場へ向かう時だ。,,, 「サピエンス全史~上~p.126」
らんぷの頭の中では、主人公の「ぼく」がこの子牛に変換され、この本の中の出来事は、空想の物語の話ではなく、現実に毎日世界中で起こっているありふれた出来事なのだと思いました。
現在、日本人の大半はあまり気にすることがないことだと思います。そして、西洋人の多くは気にも留めないことだと思います(”肉食の思想”を参照)。そう考えると、この絵本はとても稀で、深イイ物語だなーって思いました。
娘と一緒に読んだ後は、夕飯のローストビーフに感謝しながら、おいしくいただきました。食育にも使えるかもしれませんね!
胸を打つラストの内容は、、ぜひ読んでみて感想を教えてくださいw