羊の書斎 ~ 晴耕雨読 ~

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【読書レビュー】幸せになる勇気~自己啓発の源流「アドラーの教えⅡ」~☆5.0

嫌われる勇気に続くシリーズ第2段完結編。今回も再読レビューになります。

何度読んでも発見が尽きない本です。きっと、経験を重ねるごとに響くポイントが増えてゆくのでしょうね!

 

 

どんな本?

 

嫌われる勇気の3年後、青年は親への反発から司書の道を選んでいたことに気付き、教師に転職してその道を歩んでいました。

 

しかし、日々子供達と向かい合うなかで、アドラーの思想について限界を感じざるをえない事に気付き、再び哲人の書斎を訪れます。。

 

~ 前作、「嫌われる勇気」のレビューはこちらになります。もしよければどうぞ ~

hituzinoshosai.hatenablog.com

 

本の印象

 

基本的な構成は前作同様。哲人と青年の議論を通して、より深いアドラーの思想について話が繰り広げられます。

 

子供が親に反発するメカニズム。褒めない、叱らない教育、子育てについてより具体的な説明が青年の経験を通してくり広げられてゆきます。

 

前作がアドラーの思想全体についての骨肢の説明とするなら、本作はその骨肢を補強し、肉付けを行う様な位置付けの本だと思いました。

 

内容は色々なところで断片的によく聞く話なのですが、組織論、教育論、子育てノウハウ、いかにアドラーの思想が世の中に影響を与えているかがよくわかります。

 

アドラーの描いた幸せに生きる哲学は、今の時代になって様々な形で花を咲かせ始めていると感じました!

 

アドラーの生きた時代について

 

今回の再読で一番の気づきだったアドラー自身についての内容を事前に少し書かせてもらいます。

 

アドラー第一次世界大戦で、軍医として戦争に徴収されました。当時44歳。大戦は、今までに人類が経験したことがない、民間人も含めた総力戦となりました。

 

幼いころに弟をなくし、医師を目指したアドラーに課せられた任務は、病床にいる兵士を治療し、戦場という死地へ送り返すこと。アドラーの心中お察しします、、

 

戦争の結果、勝者も敗者も完全に疲弊しました。そこでアドラーは、なぜ戦争が起こるのか、戦争を起こさないためには、人が幸せに生きる為にはどうしたらいいのかを考えました

 

偉人たちはほぼ例外なく意外な一面がありますよね。苦労人とか、壮絶な体験しているとか。。

 

内容

 

人は赤ん坊として生まれます。身体的な劣等性ゆえに"愛されるためのライフスタイル"を選択します。愛されない赤ん坊は生存できません。

 

泣くことで注意を引き、授乳して貰い、オムツを変えて貰い、抱っこして貰い、寝かしつけて貰います。彼、彼女は世界の中心であり、母親、父親、家族、すべての人から愛されます

 

しかし、成長の過程で"愛されるためのライフスタイル"は破綻を迎えます。当たり前のことですが、愛する人がいなければ愛される人がいないのです。

 

そこで始めて、人は愛するために自立する必要にさらされます。

 


アドラーは、人を愛することが「自立」だといいます。相手が愛してくれることを願いつつ、それは相手に委ねるしかない。課題の分離ですね。あくまで能動的に、裏切られるかもしれないし、見返りはないかもしれない、それでも「自分から」、相手を愛することが必要なのだと、理解しなければいけない。

 

親が認めてくれないから、上司が評価してくれないから、自分は不細工だから、頭が悪いから、不景気の時代が悪い、社会が、国が、世界が悪いと、他者を言い訳にして、自分から与えることをしない人は"愛されるライフスタイル"から抜け出せていない、つまり自立できていない人達なのです。

 

10歳で自立している子供もいれば、60歳でも自立できない人もいます。自立とは、年齢や、経済的な自活のみをさすわけではありません

 

しかし、そのライフスタイルを続ける代償は大きい。尽きることの無い承認要求にさいなまれ、知らず知らずのうちに、他者からの評価のなかで操られる人生を生き続けなければならない。あるいは、トラウマという過去にしがみつき、今の自分を責め続ける、あるいは慰め続けることをしなければいけない。

 

ではどうすればよいのか?

 

 

「人は一人では生きてゆけない」これは自明の理。裏を返せば、人は人間関係の中で幸福を感じて生きてゆけばよい、ということです。

 

等身大の自分を認め、共同体感覚を育て、貢献を感じて、人生のタスクに向き合うこと。そして誰かを愛すること。

 

ほかも、幸せから遠ざかるメカニズムについても言及しています。

 

怒りは他者との距離を遠ざける力である。暴力という安易で低コストなコミュニケーションは使わない。他者と自分の課題ははっきり分離する。自分ではなく、他者へ関心を持つ。変えられないものに執着せず、変えられるものに注目する。賞罰や褒章による競争原理の世界ではなく、共同体感覚による協力原理の世界に生きる。

 

この様な具体的な実践論をアドラーは掲げました。

 

つたない文章でなんだか申し訳ないです、、色々と端折って心に残ったところだけを書いてゆきましたが、本書では流れ良く、具体的な例や、青年と哲人のやりとりを通してとても分かりやすく書かれています。

 

少しでも気になった方は読んでみてくださいね!