羊の書斎 ~ 晴耕雨読 ~

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【映画レビュー】この世界の片隅に 2016 ☆5.0

この映画は公開時から観たいと思っていた映画です。しかし、子供が生まれて間もないタイミングだったので、忙しくてみらず、、2年後、近くの映画館でたまたま再上映していたタイミグで観ることが出来ました~♪

舞台は昭和20年の広島の呉。天然の要塞といわれる景観の美しい、山に囲まれた港、戦艦大和の生まれ故郷です。

そこへ嫁いできた18歳のすず。当時、女性は男性のお家に嫁ぎ、その家を守り、子を育ててゆく時代。男女平等の今の世の中では想像できませんが、戦争も日常の一部だった時代。時代に翻弄されながら、懸命に生きてゆくすずの物語です。

戦争の映画と言うと「火垂るの墓」、「プライベートライアン」、「硫黄島からの手紙」となど、重いものを想像していましたが、良い意味で裏切られました。

ドンパチのシーンや暗い話は少なめで、戦時中の日常が、リアルに、等身大に描かれた物語です。当時の人々も今と同じ、悩み、笑い、悲しみ、怒り、愛し合い、いたわり、助け合って生きてゆく話でした。

ところで、wikiで見るとこの映画の賛否ははっきりとわかれているようですね。戦争というセンシティブなテーマに対して真っ向から取り組んだ作品なので、形はどうあれ、観る人の心の奥に響く作品なんだと思います。70か国以上の国で公開され、日本アカデミー賞始め、数々の賞を受賞している話題作のようです。

もちろん、らんぷの心にもガツンと響きました!

キャラクターの絵はデフォルメが強く、慣れるまでは違和感がありましたが、風景、建物、街並み、船、戦闘機、描写はとても詳しく、水彩画のように優しく美しい雰囲気でした。

ストーリーや人物の描写もとても自然で、アニメによくあるご都合主義や派手なアクションなどはありません。そういうのを求めている人にはお勧めできませんが、素朴だけど丁寧な作りが、よりリアルな日常感を醸し出しています。

この映画の一番の魅力は、すずさんの人生を通して、当時の広島、呉での戦時中の生活を感じることができる没入感です。

右も左もわからないまま知らない家に嫁ぐ不安、そこでいつもと変わらず始まる1日、嫁姑の問題、旦那さんとの初夜。徐々に呉の生活に馴染んでゆき、旦那さんとも仲睦まじく過ごす日々。

そして、徐々に迫り来る戦争の影。

おっとりのほほんとしたすずさんが、色々なことを経験し、自分の居場所、生きる意味を見つけてゆきます。

ちなみに2019年には、40分のシーンを加えた「この世界の(もっと多くの)片隅に」が公開されています。168分の史上最長アニメーション映画とのことです!

気になった方はぜひご覧下さい(長いですが、、)!

 

 

ここからはちょっとネタバレ、、ご注意ください💦


~ らんぷの心に響いたセリフ集 ~


「大丈夫かのう、すずさん。こがいにこまくて細うて、誰も男がおらんなったこの家を守り切れるんかのう、、」
出立の前夜、すずの手を握り、残してゆくすずと家族を案じる夫の周作の言葉。

「この世界にそうそう居場所はのうならせんよ」
姪と自分の右手を、爆弾で失った後、意識を取り戻したすずの回想シーンにて。遊郭の友達、リンさんの言葉

「民ぽ館で行き倒れとった兵隊さん、あれ、うちの息子だったらしい。自分の息子だと気づかんかったんやうちは。」
原爆の爆心地から、炭化した体で地元まで歩いて帰ってきたのち、民ぽ館の前で息絶えた兵隊さんの母の言葉。息絶える前に再開していたが、母親は気づいてやれなかった。

「この世界で、普通で、まともでおってくれ、すず」
敗戦後、すずの空想の世界で、戦場で亡くなった鈴原哲の言葉